随行者感想・・・英国研修は、人を育てる
「知多から世界へ」が実施する英国研修は、2015年に始まり、2025年には、11年目を迎えました。当初、5名で始まった英国研修も、既に22名での参加研修にまで成長しました。
研修は、当初は、ホームステイだけでしたが、2024年から、地域の中高一貫名門校であるシュルーズベリー校の寮滞在も取り入れ、いろいろな生活体験の機会が得られるよう増やしました。
ホームステイでは、英国での一般の家庭の実生活を知ることが出来、また、楽しむことが出来ます。一方、寮では、朝のミーティングから始まり、夜のナイトアクティビティーまで、飽きることのないプログラムを楽しむとともに規律正しい生活を学ぶことが出来ます。
何度訪れても、いつも、アカデミーのスタッフの充実を感じる研修です。どうすれば、あのような優秀且つ個性的な素晴らしいスタッフを採用することが出来るのかと、我々随行者の中で話題となったくらい、研修スタッフのそれぞれの能力を感じ取ることが出来ます。規律を重んじる厳しい中でも生徒に対する優しい対応。英国研修に参加された研修生の皆さんは、気づかなかったかもしれませんが、素晴らしいスタッフに恵まれた環境の中で研修が行われています。
ここに集まる研修生は、私が確認できただけでも、ドイツ、フランス、スイス、スペイン、ポルトガル、
イタリア、ハンガリー、中国、ポーランド、ウクライナ、イラン、リトアニア、ブラジル、トルコなど10か国を超える非英語圏の国々から参加されており、国際色豊かな中での同世代の研修を楽しむことが出来ます。スタッフも南アフリカ出身の女性教師はじめ多種多様な方々で構成されており、英国ならではのお国柄を感じ取ることが出来るとともに、英語が、正に世界の共通語となっていることを実感する次第です。
英国研修生のレポートには、皆一様この研修の良かった点を取り上げ、今すぐにでもまた英国研修に参加したいと書かれています。全く嬉しい限りです。
この研修の目的は、研修生は、まず、世界と日本との違いを知ることです。そして、日本との違いを乗り越えた時に新しく見えてきた世界と今までとは違った価値観を如何にこれからの人生に活かすことが出来るかが、研修生の課題だと思います。
英国大使館を訪問した折、大使館の役割と外交のお話しをお聞きしました。『外交は、文化や価値観が異なる国と国との友好関係の構築です。とても難しい仕事ですが、外交の成果は、最後は、担当者その人の人柄で決まります。つまり、人としての魅力が大切なのです。』とこんな内容の話をされました。
これは、決して外交の世界のことだけではなく、我々の身近にある社会でも求められていることかと思います。
研修生の皆様は、この英国研修・・・英語漬けの日々と地元での交流・生活体験を通して、これからは人としての魅力をつけることを目指していただけたらと思います。英国研修で研修生皆様が気づいたこと、それを通して、これからの研修生それぞれの成長が楽しみです。
随行者感想・・・英国研修は、人を育てる
(研修生OB兼随行者 伊藤 優花)これまで私は参加者、そして随行者として、計3回英国研修に参加させていただいた。ホストファミリーに翌日の予定を聞くのも緊張していた14歳の自分が、再びシュルーズベリーの地に立ち、世界を自由に飛び回れるようになるとは、当時は想像もしていなかったと思う。この研修に参加したきっかけは、どこか“遠くて特別”な海外への憧れだった。だが今振り返ると、これは単なる海外経験を超え、「世界とどう向き合うか」を考える出発点だったように思う。
特に印象に残っているのは、中国出身の参加者に「中国のこと、好き?」と聞かれた場面だ。私は答えに詰まってしまった。当時、日中関係についてニュースで見聞きしてはいたものの、自分の意見を持っていなかった。一方で彼女は、自国に対する考えをしっかり言葉にしていた。その姿に、世界を“自分ごと”として捉える姿勢の強さを見た気がする。
この経験をきっかけに、帰国後はインターナショナルスクールに進学した。英語が自然に入ってくるようになり、友人の国籍も多様になった。世界の出来事が“誰かの話”ではなく“自分の関心”に変わっていく中で、「英語を学ぶ」から「英語で学ぶ」へとフェーズが移っていった。大学でオランダを選んだのも、そうした関心に自由にアクセスできる環境を求めた結果だった。
一度“世界と地続きでつながっている”という感覚を得ると、「どこにいてもなんとかなる」という不思議な確信が生まれた。大学時代に再びシュルーズベリーを訪れたとき、かつて目新しかった街並みが、今では自然な現実として迎えてくれた。同じ場所にいても、見える世界がまるで違っていた。もちろん、南米を一人旅した際には孤独もあったが、それでも「大丈夫」と思える自分がいた。積み重ねた異文化体験と、出会った人たちの温かさが、知らぬ間に自分の中に根を張っていたのだと思う。
現在は東京でコンサルティングの仕事に就いている。なぜ日本に?と聞かれることもあるが、私にとっては“世界か日本か”ではなく、「自分がやりたいことにどこで向き合えるか」が軸になっている。世界を味方にしているという感覚があるからこそ、場所に縛られずに動けるのだと思う。
そして、その“動ける自分”の原点にあるのが、あの英国研修だ。五感を使って世界を感じ、言葉にできない違和感や感動と向き合いながらも、前に進もうとした2週間。あの夏があったからこそ、今の私がある。
長年にわたって機会を届け続けてくださったNPO
の皆さまに、心から感謝しています。そしてこれから研修に参加する誰かが、自分なりの“世界とつながる感覚”を見つけられることを願っています。
英国研修 参加者の声
<研修生の感想>
- 今まで完璧に話そうとしてうまく喋れなかったけど、完璧じゃなくても話せると知って、英語を話す自信がついた。
- とても内向的な性格で、イギリスに行っても変われるか不安でした。たくさんの人と触れ合うことができ、逆にずっとイギリスにいたいという程に貴重な時間でした。
- 恥ずかしいと思うことが少なくなって、自分の気持ちを伝えられるようになった。
- 以前より積極的にいろいろなことに挑戦できるようになったと思う。
- 自信がついた。自分がどうやったら幸せになれるか考えて、迷わずに行動出来るようになった。あまり仲良くない人にも話しかけられるようになった。
- 研修前は自分から話しかけにいくことが少なかったけれど、話しかけに行くコツを身につけることができた。これからは自分から積極的に話しかけに行く。
- 積極的に他の人とコミュニケーションを取り、自分の意見をしっかりと主張するようにがんばれそう。この貴重な経験を活かしてこれからも外国に行きたくさん思い出を作りたい。
- 人に話しかける勇気と普通じゃ気づけない日本と外国の魅力を知り、これからはもっと広い視野で物を見れそう。
- 失敗を恐れて「挑戦する」ということに対して後ろ向きであったが、英国研修では「参加したい」と思い、様々な挑戦があり、失敗を恐れることが少なくなった。
<保護者の感想>
- 研修前は、表情に乏しく、口数も多くなかったが、新幹線改札口で私を見つけた時の晴れやかな笑顔は、この2週間の感想だとひと目でわかった。ずっとしゃべり続けていた。帰国後、英語の課題を「楽しい!」とすらすら解いていた。
- ホームステイや同年代の子供たち(保護者抜き)での生活や活動は人生で初めてだったため、彼女にとって、とても有難い刺激と経験になった。自立心が芽生え、積極性と前向きさが身に付いたように感じられる。
- 言われる前に自発的に行動する場面が増えた。他者の意見やアドバイスを一旦は素直に受け止める姿勢が身に付いた。
- 英国研修に参加することは、本人自らその希望を伝えてくれた。自ら海外や未知のことへの関心を抱き、研修期間中も様々な体験をして新たな仲間や新たな発見、世界観を身に付けられたと思う。大きく成長したと感じる。